校長室だより14・・・自立に向かって(手伝い)

 科学の進歩というのでしょうか,家の中にある道具等が大変便利になり,多くの手を必要としなくなってきています。でも,家族の一員として,家族のために,自分が責任をもって家の仕事(家事)に取り組めることは,子供にとって大変大きな意味をもつことにつながります。

 昭和30年代の某映画が大変ヒットして,最近,続編も上映されています。その映画の1シーンに,年末の大掃除のシーンが登場します。「きれいに破いてね!」という母親の声掛けを背に,男の子が障子を破っていきます。私も,子供時代にまったく同じことを経験したので懐かしくなりました。びりびりと思いっきり破れる快感と同時に,年末の大忙しの中,この障子を思いっきり破るということが家族の一員として働いているという満足感を感じたものです。少し上の学年になると,破った跡の障子の桟をきれいにふきとることを要求され,びりびり破いてしまうと始末が大変になり,どうやったら,障子の桟まできれいにすることができるのだろうかと考えました。破る前に障子の桟の部分をしっかり濡らしておくといいと気付き,「きれいにはずしてくれると,障子紙が張りやすいわ!」と声をかけてもらえるのが満足感につながりました。6年生になった頃,障子貼りに挑戦させてもらえました。嬉しくて気合いを入れて,障子紙を上の方から張っていきました。途中で,何も言われなかったのでそのまま1枚の障子を(障子の桟は3段ほどありました。)張り終えてしまいました。意気揚々と報告したのですが,その時になって,下から張るということを指摘されました。(張る前に言ってくれればいいのに・・・)とふてくされましたが,「何故,下から張らなければならないのかを考えてごらん」と言われたのです。そう言われれば,いつも下から張っていたなとは思いましたが,どうしてなのか,考えてみたことがありませんでした。年末の忙しいときに,私に失敗をさせ考えさせてくれたことに,今,大人になって感謝します。最初から,下から張るんだよと言われればその通りにしたでしょう。でも,そのわけを私は考えたのでしょうか。きっと,考えずに言われるがままにしたことでしょう。

 年末に大掃除をすることや,お正月の準備をするという,この機会をいかしていただき,子供たちにたくさん,家の仕事(家事)をさせて欲しいなと思います。家事というのは頭も体も手先も使います。仕事の段取りを組むと言うことも必要になります。今までの経験や学んだこと,失敗などを生かすこともできます。このような「かかわる力」「みとおす力」「いかす力」「うごく力」,こういった力を身につけていくことが,自分を自立させていくことにつながっていくと思います。(12月20日発行)

PC180042

1週間ほど前の朝,登校してきた4年生の子供2人に「校長先生の好きなキャラクターは何ですか?」とたずねられました。「くまのプーさん,それから,魔女の宅急便に出てくる黒猫のジジが好きですよ。」と答えました。すると,一昨日,その4年生の子供2人が校長室を訪ねてきて,「校長先生は本が好きなようなので,しおりに使ってください。」と手作りのしおりを差し出してくれたのです。温かい心のこもったしおりを大事に使わせていただき,冬休みは,読みたいと思ってあたためていた本にじっくりと取り組みたいです。

校長室から
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