授業実践例

T総合的な学習の時間「風水害に備えよう」(副読本・高砂中防災ノート使用)

 総合的な学習の時間に行われた「風水害に備えよう」の学習は、引渡し訓練の前に実施した。本校周辺は、以前より台風や大雨などにより校庭や道路が冠水し、車が水没することもある地区である。災害=地震、津波の印象が強いが、身近に発生しやすい災害としての「水害」について学ぶことは、本校生徒にとって大切であると考え実践した。学習内容としては、台風により冠水した本校校庭の写真を見ながら、大雨が降ったときに自分で何をすればよいか、事前の準備などは何が必要か、などの問いかけと共に、気象庁で平成25年度から実施された「特別警報」について学習する機会を設けた。「引渡し訓練」は必ずしも地震・津波の場合に限らず、大雨などの災害が発生したときにも有効であることを確認した。

U社会科「仙台平野 災害の歴史を学ぼう」 (副読本・高砂中防災ノート使用)

社会科の授業では、各学年同じ時期に防災学習「仙台平野 災害の歴史を学ぼう」を実施した。東日本大震災と同規模の地震と津波が、沓形遺跡 (弥生時代)の発掘調査結果、貞観地震(平安時代)の津波、慶長地震(江戸時代)の津波、三陸沖地震・チリ地震による津波被害の様子を学習した。生徒の多くは弥生時代や平安時代の地震と津波の規模が、今回の津波被害の到達地点とほぼ同じであることを理解した。「天災は忘れた頃にやってくる」ということわざを引用して、日頃の防災訓練が大きな効果をもたらすことを学習した。
社会科の授業「仙台平野の災害を学ぼう」授業用スライド



    社会科防災学習の様子     東北大学 佐藤先生の授業

V東北大学との連携 出前授業「地震危険予知アンテナをもっていますか?」

東北大学災害科学国際研究所の佐藤健先生をお迎えして「地震危険予知アンテナをもっていますか?」というタイトルで授業を行った。学校や自宅の室内空間における地震時のけがの防止とそのための工夫改善について学習した。授業では、地震時の室内の被害の例、地震時のけがの要因データ、室内空間のスライドを使用し、どんなところに危険が潜んでいるのかを事前に気づく「危険予知能力」と、危険を回避するための「危険回避力」の大切さを学んだ。           
◎生徒の感想◎

「地震が起きたときはどうすればよいか、家の中の危険をどうしたら回避できるのかを学びました。災害が複合しないためにも、自分たちが住んでいる地域の特色を調べ、しっかりと対策することや、地震国として国民一人ひとりが意識を持つことが重要であると思いました。(3年男)

グラフ2 防災学習生徒アンケート(H26年実施)

1そう思う 2どちらかいえばそう思う 3どちらかといえばそう思わない 4そう思わない 5わからない


上のグラフ2は、防災学習の終了後に実施した生徒用アンケートの結果である。集計結果から、「防災の授業は実際の災害が起きたときに役立つ」との質問項目に対し、思う(59)、どちらかといえばそう思う(28)であった。また、「防災学習は大切である」との質問項目に対し、そう思う(75)、どちらかといえばそう思う(16)であった。この結果から、地域の防災活動や学校行事との関連性を意識した授業実践は、生徒が「自分を守る」・「正しい知識と情報」を得る学習に、一定の効果が見られた。更に「311副読本」と防災ノートを併用した学習指導を進めることにより、副読本の効果的な活用も目指している。

 第1章 高砂地域の歴史(地震や津波などの災害)と地震のメカニズム
  1 身近な地域の災害の歴史
  2 地震について知ろう
    (1)地震発生のメカニズム
    (2)地震の揺れ
 第2章 災害への対応
  1 学校で大地震が起こったら
    (1)学校の中で地震が起こったら
      @学校の中で危険なこと
      A学校で起こりうる危険と身の守り方
       A 授業中
       B 休み時間中
       C 放課後
       D 登下校中
    (2)家にいる時地震が起こったら
      @家の中で危険なこと
      A家から避難場所への移動
    (3)外出時に地震が起こったら
      @外出時に危険なこと
      A外出場所での避難
    (4)災害に備えて
      @非常持ち出し品のチェック
      A家族と連絡を取る方法
      Bあなたができるボランティア活動(共助)
  2 津波が起こったら
    (1)津波とは
    (2)津波被害と対策
    (3)津波防災マップ(AED設置箇所・高層建築箇所)
 第3章 東日本大震災から学ぶ
  1 当時を振り返って
    (1)生徒作文から
    (2)保護者アンケートから
  2 高砂中版 防災対応マニュアル
 第4章 『未来の高砂中学校区』新しいまちづくりを考えよう




メニュー



具体的な取組



今後の取組



防災ノートを使用した授業実践について

@全校一斉防災学習指導案NO,1「自分の命は自分で守る

A全校一斉防災学習指導案NO,2「知っておきたい心肺蘇生 心の健康

                                          ワークシート
 

◎ 生徒作文「3.11東日本大震災から1年を迎えて」から
 2011年3月11日,穏やかだったこの町が一変した。そして,今でもあの時の光景が目から,心から離れないままだ。
 東日本大震災は,私たちにいったい何をもたらしたのだろうか?大切な家族,家,そしてこの町で過ごした思い出をすべて持ち去ってしまった。しかし,いつまでもくよくよしていてはいけない。私たちのように若い世代が復興に向けて少しずつ歩んでいかなければならない。そう思うと,とても辛く,胸のつぶれる思いだった。
 そんな時,私を助けてくれたのは,全国,全世界から支援してくださった人達だ。どの方々も,思いやりがあり,優しい言葉を学校に寄せてくれたり,食料を持ってきてくれたり・・・。数えきれないほどの支援をしてくださったことを今でも覚えている。この感謝の気持ちをどう伝えるか,それは,やはり復興へ向けて歩んでいくしかないと思う。今,私たちは少しずつ復興に向けて歩んでいる。しかし,復興はどこまでが復興なのか。町や地域が元に戻っても,心が立ち直らなければ意味がない。それが,復興の難しい一つの理由だ。
 これから何年かは,たくさんのことを考えて生きていかなければならない。辛いときも苦しいときもたくさんあると思うが,助け合って前へ進んでいきたい。そして,この大震災から学んだことを多くの人に伝えていきたい。

◎ 保護者アンケート「家族との連絡,お子さんとの安否確認の様子」から
 震災当日,家族は全員ばらばらに被災しました。自宅は津波で全壊しました。当日家族のだれとも連絡がつかず,次の日の朝,安否確認がとれました。以前から,地震があり津波が来て,もし家族がばらばらな時は,中野小か高砂中へ。と話をしていたのが良かったのか,次の日,高砂中にて家族の無事がわかりました。中2の息子は翌日の朝,友達から聞いて高砂市民センターにいることがわかりました。高3の娘は,メールで生きていることだけはわかっていましたが会うまで心配でした。(中野地区Tさん)

 私は自宅にいました。逃げ遅れ,自宅2階に避難しました。津波が押し寄せ周囲一体が真っ黒な海になりました。1階リビングに瓦礫が流れ込みブロック塀と車が流されました。父親は,白石の勤務先から当日深夜に帰宅しました。最後まで安否確認ができなかったのは中1の息子で大変心配しましたが「絶対に学校で保護されている!無事で生きている。」と信じていました。翌朝ようやく迎えに行けた時には涙が出ました。ありがとうございました。(岡田地区Tさん)

高砂中学校 新たな学校防災教育

全校一斉防災学習指導案例

 1 はじめに
 この防災ノートは,今の子どもたちが,将来,机の片隅からこれを見つけ出し「あの時のノートだ。」と,次世代の子どもたちに大震災の教訓を伝えていく,そんな姿を信じて作成しました。私たちの高砂には,大震災の教訓を語り継ぐに余りあるつらい経験をなさった方々がたくさんおられます。その思いに共感し,教訓としていく防災教育をこれからも大切に進めていきたいと思います。

2 防災ノートの活用について
 大震災を経験した私たち,あの時の恐怖や悲しみ,避難生活,使えなかった体育館,できれば思い出したくないこと,悔しいことがたくさんあります。しかし,それ以上に,この大震災の経験を通して学んだこと,心に刻んだことがたくさんあります。今,私たちはこれらをしっかりと受け止める時期にきています。
 この防災ノートは,高中生や保護者のみなさんの思いや経験をたくさん取り入れ作成しています。貴重な経験を生かし,今後,同様な災害が起きても自分で正しく行動し,自分の身を守ることができるよう,そして,地域のために積極的に行動できるよう,学んでほしいと願っています。

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平成26年度の「防災ノート」を使用した授業実践例




  

B全校一斉防災学習指導案NO,3「風水害に備えよう」
                                  ワークシート

『第2章 災害への対応』から一部紹介

   
 ◎ 学校の中で危険なこと(高砂中の被害)    ◎ 家族と連絡を取る方法(家族との約束)

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『第3章 東日本大震災から学ぶ』から一部紹介
3 内容(目次)
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       防災ノート表紙

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