第35回卒業証書授与式を挙行しました。

 本日午前9時半より,卒業生332名と各家庭1名の保護者の皆様のご臨席をいただき,第35回卒業証書授与式を挙行しました。今,卒業に当たって,別れを惜しむより,未来に向かって旅立つ背中にエールを贈りたいと思います。卒業生の皆さんの活躍を期待しています。

<校長式辞>
今日ここに富沢中学校第35回卒業証書授与式を迎えることができましたこと皆さんとご家族の皆さんに厚く感謝しています。ただいま卒業証書を手にした332名の卒業生の皆さん、中学校での課程を全て終え、見事に卒業することに心からお祝いを申し述べます。
 卒業生の皆さんは、感染防止のために突然臨時休校となり、指導を受けた先生方に感謝の思いや将来の夢あるいは新たな中学校生活に向けての決意等を充分に伝えきれないままに、6年間慣れ親しんだ思い出多い小学校を巣立ち、様々な不安や心配と期待を抱いて3年前の6月2日に本校に入学しました。中学校生活が、人と人の繋がりを分断する新型コロナウイルスに世界中の人々が翻弄された時期と重なり、校長として、皆さんの命や健康を守る使命と、一方で、皆さんの中学校の大切な思い出づくりの場を奪ってしまってよいものかという狭間で苦渋の決断をせざるを得ない場面があり、本当にあの決定でよかったのかと随分と自問自答した日々もありました。
 しかし、校内合唱コンクールや文化祭で、可能な限り精一杯の発表を見せてくれた発表者の皆さんと、その皆さんが励んだ成果を十分に発表できるようにと、工夫して支えた皆さん、更に教室で、そこに至るまでの取組に想いを馳せながら、しっかりと鑑賞する皆さんの姿に深い感銘を受けました。皆さんの姿から、集い学ぶ学校本来の存在意義でもある、仲間と共に日頃培った友情や成果を、伝え合い、競い合う機会としての学校行事や各種大会の大切さを改めて確認することができました。皆さんの「これからも工夫しながら学校行事を実施してほしい」という熱い思いを受け止めました。
 さて、皆さんが進路の選択を迫られた頃に、廊下に美術の授業で制作した自画像が展示されました。私は、目に入る一人一人の作品から「自分は自分でよい」という感覚、いわゆる「自己存在感」の感情が用紙いっぱいにあふれていて、前途ある皆さんの、可能性が芽吹いていることに改めて気付かされ、目頭が熱くなりました。自己存在感とは「自分を価値のあるもの、かけがえのない存在として認め、集団の中で居場所がある」と感じる気持ちです。学級や学年あるいは部活動の中で人と関わることを通して、自分を知り、自分を受け容れ、自分を肯定的にとらえた時に感じることができる気持ちです。「自分は自分でよい」は「あなたはあなたでよい」という考えにも通じます。そして、卒業生の皆さんは、様々な個性を持つ友達も温かく受け入れながら、学年、学校全体としては、それぞれの持ち味を活かして、共によりよく生きる本校の受容的、協力的な学校風土を一人一人の成長に重ね合わせて作ってきました。卒業生の皆さんの日々の姿こそが、記録には表せない大きな功績であり、本校の無形の財産である伝統になります。本当に卒業生の皆さんの笑顔と節度ある学びの姿勢に、大変勇気づけられました。学校は、皆さんが、健康で、元気に活動し、笑顔で、友達と語り合う場で、あり続けることが「学校は生徒を幸せにするところである」という証になり得ることを、皆さんのおかげで、私たち教職員は改めてしっかりと心にとめることができました。
 卒業生の皆さんは今日の卒業をステップに、それぞれの進路に向けて踏み出そうとしています。新たな目標に挑むことは、希望や期待と同時に不安や心配もあり、足がすくむことも考えられます。しかし、皆さんのなかで、全てを順調にたどってきた人は少なく、途中の困難さを自分自身の努力や、家族あるいは友達や、先生の助けもあって乗り越え、一段と成長を果たしてきたものと思います。本校は富沢遺跡の上にあり、私たちの足下には、約二万数千年前の石器や弥生時代などいくつかの時代の水田が眠っています。これまで、何万人もの人々が、この富沢の地で生活してきて、その延長上に現在の私たちがあるということを物語っています。卒業生の皆さんが「過去の長い歴史が、現在の自分につながり、さらに現在の自分の生き方が未来の社会につながることを踏まえて、自分は多くの人たちに支えられて生きていること、そして自分も多くの人たちを支えて生きていることを自覚して、これからの長い人生を、多様な考えをもつ様々な人々を受け入れ、交わりながら「共によりよく生きる」ことができれば、先の見えない時代にあっても、力強く、歩みを進めることができるものと確信しています。
 本日の卒業証書授与式を迎えて保護者の皆様にはお祝いと御礼を申し上げます。ただでさえ、思春期のまっただ中にある御子様たちの子育てについて、戸惑いや悩みが続いたことかと推察致します。まして、学校生活や社会生活に様々な制限が続いたつらい時期もあり、お子さんの心に大きなささくれが出来そうなときにも、保護者の皆様のお力をお借りし、支えていただきました。それだけに、本日ここに成長し、見事に卒業を果たす姿に間近に接して、感慨深いものがあろうかと存じます。格別の思いを込めてお祝いを申し上げます。
 最後になりますが、ご来賓の皆さまや在校生の参列はありませんが、事前にたくさんの温かな祝意をいただいておりますことをお伝えして、式辞といたします。  令和5年3月10日  仙台市立富沢中学校 校長 清野 俊也

卒業証書授与式の様子
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  • 2023.03.10 Friday 15:59
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