「感謝を忘れず、今できることを全力で」

 生徒のみなさんへ

 本日で東日本大震災から9年となりました。
 鶴が丘中では、予定していた防災教育は臨時休業のためできませんでしたが、震災を中学校3年生の時に経験した先生の話を紹介します。
 ぜひ、読んでみてください。


  「感謝を忘れず、今できることを全力で」

 中学校3年生だったあの日、私は中学校の卒業式を翌日に控えていました。卒業式の全体練習と、最後のホームルームを終え、友達とも「また明日ね!」と言って帰りました。あとは、卒業式を行うだけでした。
 しかし、その「明日」は来ませんでした。14時46分、テレビから聞こえてきた緊急地震速報とともに、大きな揺れが起こりました。何が起こっているのか分かりませんでした。何とか情報を集めようとラジオをつけると、聞こえてきたのは、私の中学校が津波の影響を大きく受けて、孤立しているという情報でした。当時の私には、この情報の意味を理解することができませんでした(理解したくなかったのかもしれませんが・・・)。
 「明日の卒業式は無理だろうね。」家族からの一言で、この地震の大きさを痛感するとともに、「明日が来る保証なんてどこにもないんだ。」と大きな絶望感に包まれたのを覚えています。
 数日後、私は生存連絡のために中学校に行きました。津波の被害を受けて変わり果てた中学校の姿を目の当たりにし、私は言葉が出ませんでした。中学校では日本だけでなく世界中から多くの方がボランティアとして活動していました。その姿を見て、「自分にも何かできることがあるのではないか」と思い、私も中学校の避難所運営ボランティアを行いました。内容は、避難所の清掃と支援物資の運搬です。そのときに、避難していたおばあちゃんから、「この地震を絶対に忘れないで欲しい。この経験を多くの人に伝えて欲しい。日本の未来は託したよ。」と言われたこともあって、私は「地震」について学習する中学校「理科」の先生になることを決意しました。
 あの日から9年が経ちましたが、多くの人の支えがあって今の生活ができていることを忘れないでください。そして、必ず安全な明日が来る保証なんてどこにもありません。いつ何が起こるかなんて分かりません。今できることを全力で取り組んでください。
 地震の恐ろしさと、この地震から学んだことを、私はこれからも伝え続けます。あの地震を経験した一人として。
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