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平成23年度 校内研究
研究主題
学ぶ楽しさを味わわせ,より確かな学力を育てる指導法の研究
〜算数科の指導を通して(3年次)〜


主題設定の理由
(1) 教育の今日的課題から
 21世紀は知識基盤社会の時代であると言われ,新しい知識・情報・技術の価値が高まり,グローバル社会に対応した「生きる力」をはぐくむことの重要性が増してきている。このことを踏まえ,今年度から全面実施される新学習指導要領においては,知・徳・体のバランスとともに,基礎的・基本的な知識・技能,思考力・判断力・表現力等及び学習意欲がより重視された。特に,理数教育の充実を図るため,算数と理科については平成21年度から移行措置として前倒しして実施されている。
 このように,学習意欲を高めながらより確かな学力を育てていくことは,教育の今日的課題となっている。

(2) 本校の教育目標から
 本校の教育目標である「豊かな心と確かな力を持ち,力強く未来を生き抜く児童の育成」の達成と,めざす児童像「思いやりのある子ども」「よく考え工夫する子ども」「健康でたくましい子ども」の具現化を図るために,主要教科である算数科に焦点を当てて校内共同研究を推進する。このことは,日々の授業改善や確かな学力の向上にもつながるものと考える。

(3) 児童の実態から
 昨年度の仙台市標準学力検査結果から,本校の校内平均正答率は,全学年全教科において期待正答率を上回った。特に算数では,どの学年も期待正答率を8〜11ポイント上回る良好な結果であった。また,質問紙の「授業・学習意欲」に関しても,学習に前向きな児童の多い傾向が見られた。
 しかし,平均正答率が50ポイントを下回る児童に目を向けると,学習意欲や応用力が極端に低くなっており,個人差(二極化)への対応が大きな課題となっている。

(4) 教師の願いから
 本校では今年度,3〜6年で算数の少人数指導を実施している。また,個別の支援を要する児童を対象に,ステップルームを設置している。
 今後,個に応じた指導のさらなる充実を図るため,指導方法や指導体制を工夫・改善していく必要がある。また,新学習指導要領の趣旨を踏まえ,算数的活動や言語活動に関する教材研究を深め,授業の質的改善を図ることで確かな学力の向上につなげていきたいと考える。

 以上の設定理由により,本主題を設定した。

研究の基本的な考え方
(1) 算数科における「学ぶ楽しさ」とは
@問題解決を通して,分かる喜びや満足感・達成感を味わうこと。
A算数的活動の楽しさや数理的な処理のよさに気付くこと。

(2) 算数科における「確かな学力」とは
@基礎的・基本的な知識・技能を確実に身に付けること。
A学習し身に付けたものを,新しい学習場面や生活の中で活用していくこと。
B算数を学ぶことの楽しさや意義を実感し,主体的に学習に取り組むこと。

研究のねらい
 算数科における指導方法の工夫・改善を通して,児童に学ぶ楽しさを味わわせながら,より確かな学力を育てるための学習活動のあり方を探る。

研究の視点
(1) 児童が目的意識を持って主体的に取り組む算数的活動の工夫

(2) 言語活動を効果的に取り入れ学び合いを深める学習活動の工夫

研究の方法
(1) 授業研究
@全校授業は,低・中・高学年部から1コマずつ年3回実施する。事後の授業検討会を含めて,全職員が参加する。
A全校授業を行わない学年は,学年部授業を実施する。指導案の配布と授業参観の呼びかけは,全職員に行う。

(2) 理論研究
書籍やインターネット等で研究に役立つ情報を収集し,活用する。

(3) 研究集録の作成
実践の記録や研究の成果・課題等についてファイルにまとめ,研究集録とする。

成果と課題
研究の視点
○ 主 な 成 果
▲ 課 題(改善策)
□視点1

児童が目的意識を持って主体的に取り組む算数的活動の工夫
問題場面を設定する際に,生活経験と関連させたりストーリー性やゲーム性を持たせたりすることで,児童の学習意欲や課題解決への集中力を高めることができた。

具体物を用いた操作活動や,色の塗り分け,図への書き込みや切り取りなどを取り入れることにより,数量をイメージ化したり数学的な考えを深めたりすることができた。

児童が学習課題を正確に把握し,自力解決の見通しを持つことができるように,解決の手がかりの提示の仕方や既習事項の想起のさせ方などの工夫が必要である。

児童の思考に沿って算数的活動が有効に展開できるように,児童の実態や学習内容に応じながら,教材・教具や資料の提示方法,板書等の工夫をさらに図っていきたい。

□視点2

言語活動を効果的に取り入れ学び合いを深める学習活動の工夫
ペアやグループでの話し合いは,どの児童にも発言の機会が与えられ,自分の考えを明確にしたり多様な考えに触れたりして,学び合いを深めることができた。

自力解決→ペア解決→グループ解決のように,段階を追って話し合い活動をしたことで,自分の考えを練り直してよりよい考えを導き出すことができた。

ノート指導の積み重ねにより,自分の考えを絵や図,数直線,言葉,式などで表現できるようになってきた。また,ノートに自分の考えを整理することで,自信を持って発表することができた。

目盛りを入れたカードやホワイトボードに自分の考えを予め書くことで,自信を持って発表することができた。

グループ学習において,どこまで話し合いの内容を深めたらよいかが課題となった。話し合いの仕方について,学校全体の系統立てた計画や指導の積み重ねが必要である。

グループ数が多くなると,担任が児童の話し合いの様子をとらえきれない場合がある。学習内容に応じたグループ編制や発表のさせ方,時間配分等を工夫していきたい。

自分の考えを発表するだけで満足するのではなく,友達との共通点や相違点を見付けて比較し,それを説明する力も育てたい。また,表現の苦手な下位群児童への個別支援を工夫していきたい。

全体での発表場面で,座席表を活用しての意図的指名や,説明が見やすいような座席配置の工夫をしていきたい。