昔の人の心に触れる
                  道ばたの石塔から
  @ 心に触れるとは
 
     ・触れる=さわる
      ・心が分かる=昔の人の心情に分かる。

  A 何から分かる
      ・道ばたの石塔から
      ・どんなところに見られるか
              ⇒道ばたや,お寺の境内など
      ・誰が建てたのだろう
              ⇒そこに住んでいた人
      ・いつ建てたのだろう
               ⇒建立の年月日が書いてある。
      ・何のために
      
         ⇒一つ一つ調べると分かる 
                →神様や仏様への願い事

     
 ・どんな世の中だったんだろう

    八幡神社への道

どうして石塔は建てられたのか
 石塔の読み方
       生きていくのにどんな悩みや願いが 
  
1.子どもが生まれますように。そして元気に育ちますように
  
     若妻たちの願い
 ◇山神(やまのかみ
  ・小牛田町の山神社に対する信仰。子宝産授と安産を願った。
     [木花咲耶姫(
このはなさくやひめ)]山神社の祭紳。
     大山祗神(
おおやまつちのかみ)の娘で,容姿美しくニニギノミコトの妃
     となり三人のミコトを生む。
   山神講(若妻会)→春秋の決まった日に,当番の宿に集まり掛け軸を
    参拝,歓談。
       山神講は今も坪沼に残っており,代表が小牛田町の
       山神社に行っていることや,子育てをする母親同士が
       集まって苦労話やアドバイスをし合うそうです。
       宿は昔,当番制であったが今は集会場を利用したり,温泉に
       行ったりているそうです。
 ◇子安観世音(こやすかんぜおん)
  ・腕に赤子を抱く。妊婦の安産,幼児の無事成長を守護する。
  
 
安産成長を祈った人々の強い願いを感じました。各地区に山神塔があり,そこには,世話人や塔を作った人々の名前が彫ってありました。今から2百年ほど前には新生児の3割ほどしか3歳にはなれなかったと聞きました。子を授かることへの願い,そして無事育ってほしいとの願いは,医学の進歩していなかった昔,恐れも大きく,祈りはさぞや強かったことと思います。
 10月2日の「坪沼歴史を尋ねる会」では山田義正様
から,自分の体験を通してその思いを話してくださいました。子どもたちも保護者の皆様も深く感動していました。
    
             
山田義正氏の話と写真 

 ◇塩釜大明神
   ・塩釜神社別宮の祭神、塩土老翁神
(しおつちのおじ)は古来朝
    廷の厚い保護を受けた安産と漁業の守護神である。

      針山の山神

2.健康長寿・生活安全を願う
 ◇ 庚申塔
    ・ かのえ・さるの夜,当番の宿に集まり青面金剛を拝み,健康長寿を
    願う素朴な信仰。
 ◇月待塔  
    ・ 月の出を待って拝むと、仏様が現れ願い事がかなうという。
     女たちのきびしい生活にかかわることも話し合われた。
 ◇巳待塔
    ・ 「日待ち」の一種、前夜から精進潔斎し、己巳の刻(午前9〜11時)に
     太陽を拝む。弁財天が現れると→拝んだ人は幸運に恵まれる
 ◇日待塔 を拝む。(1月・5月・9月の吉日)
 ◇弁財天
    ・ 本来は弁才天で弁舌の神。→我が国で福徳の神としての性格が強く
     なった。
       室町時代以降、七福神の一人として親しまれる。
 ◇金華山
    ・ 金華山は弁財天を祭り、日本五弁財天の一つで、福徳・知恵・財宝を
     与える神。

   長田北の弁財天

3.お山に祈る五穀豊穣・家内安全
  ◇湯殿山
    ・ 出羽三山は、羽黒派修験の霊場で、村人たちは三山講をつくり、毎
    年代参人が三山がけ・三山詣りに出かけた。
  ◇蔵王大権現
   ・ 日本国の総鎮守で、除災・除魔の力をもつ修験道の本尊。
     刈田岳山頂に勧請された。
  ◇古峯神社
   ・ 古峯神社は栃木県鹿沼市古峰原にある火防の神様。古峰原講は
     現在も盛んで、代参人がお札を受けてきて各家庭に配っている。
  ◇金剛山
   ・ 本来金剛山は,奈良県南部の霊場であるが,坪沼にある石塔は栃
     木県鹿沼市にある,金剛峯権現を対象としたものと考える。日光に
     近いこの辺りは,天狗信仰で知られる古峰ヶ原信仰の聖地である。   
    そのほか ◇鳥海山 ◇秋葉大権現などがある。
4.観音様の化身として大事にされた馬
  ◇馬頭観世音
   ・ 三面八臂で宝冠に馬頭を戴く観音、旅と馬の守護神。
     町内では数が最も多く、昭和にまで及ぶ。
  ◇松尾観世音
   ・ 舞鶴市の松尾寺の本尊が馬頭観世音である。
   ◇馬櫪神
   ・ うまやの神、馬の守護神で、馬頭観世音と共通するところがある。
5.病気の治癒を願う
   ◇青麻三光宮 
   ・ 脳卒中で半身不随になる中風の予防と治癒を願った。
   ◇阿保原地蔵尊
   ・ 口の中の病気や歯痛を治してくれる地蔵尊。
   ◇菅谷不動尊
   ・ 利府町菅谷の不動の池の水で目を冷やすと効験がある。
   ◇足尾山
   ・ 足の諸病に悩む人が治癒を願い、全快後鉄の草履を奉納した。
6.先祖の供養と来世への願い
   ◇南無阿弥陀仏
   ・ 阿弥陀信仰、念彿供養に基づくもので、亡くなった人の極楽往生と
     自らの死後の安楽を願った。 念仏講
   ◇念仏供養塔  
   ◇三界萬霊供養
   ・ 三界とは生まれ変わり,死に変わりする三つの世界,すなわち前世,
     現世,来世の迷いの世界をいう。この世界を輪廻する仏の救いの対
     象となる,全ての衆生を供養するのがこの石塔である。飢饉による
     餓死者を弔ったものが多い。
7.その他
   ◇大日如来
    ・ 大日如来は太陽にたとえられ、知恵の光明はあらゆる煩悩を打ち破
     り、全てのものに救いの手をのべるとされる。
   ◇西国三十三観音 ・西国三十三観音巡礼
   ◇金毘羅山
    ・ 金毘羅は仏教の守護神の一つ。海神・水神として海上安全、雨乞い
     の祈願。
   ◇大神宮
    ・ 伊勢神宮に対する信仰

   中沖東の蔵王山

  長田北の馬頭観世音

   八幡神社参道

          

                           根添の石塔群