校章『柏』について
開校当時,学校をとりまくように「柏」が自生していたという。柏の樹木は,やせ地と乾燥に耐え,潮風にも強いこともあって,「いたずらに成功を急ぐのではなく,困難と闘いながら一筋に勉学と仕事に励む,しかも頑健な身体の青年」を想わせるものがある。
本校の校章においては,強い体力と思想の健全を象徴し,特に校章の中の三つの実は真善美の追求を,三枚の葉は「広い心」「たくましい身体」「豊かな知性」が成就されることへの期待を表している。 東校門付近の柏の樹木は,4本が平成5年秋にプール南側にあった校木園から移植され,さらに平成14年春に1本が追加されたものである。現在,校歌に歌われている『五つの郷』にふさわしく5本の「柏」ががっちりと根を張って成育中である。
「柏について」----第17代校長 春日信夫先生
樹木高く20mぐらい,樹皮は黒褐色で厚く,しかも堅くそのうえ深い切れ目がある。がっちりした太い枝頂には,厚い葉と波状の縁をつけた葉が重なり,全体として重厚な荒武者のような感じである。やせ地と乾燥に耐え,山火事の跡地にしばしば美しい純林をつくり,潮風にも強い。立地を試掘すると,黒色火山灰土は別だが,地表は浅く石ころのあるところに生えることが多い。
いたずらに成功を急ぐのでなく,困難と闘いながら一筋に勉強と仕事に励む,しかも頑健な身体の青年を思わせるものがある。成長は鈍く,大器晩成といった男性的な木であると言えよう。広瀬中学校の校章としてこの木を選んだのも,この辺に意味があるように考えられる。
また,この美しい葉も秋末には褐色に枯れるが,翌年になって早春の風にざわめくが落葉しない。強い寒風のような他からの力がなければ枯れての越冬するので,昔の中国人はこれを常緑樹に見立てて松柏といい,日本でも最近までマツ科の類を松柏と呼んでいた。やがて新芽が伸びると,古い葉はそれに押されて散る。
昔の人は,子どもが一人前になると,もう親の用はないというので,鎧や刀を飾ってお祝いをした。女の子の節句は3月3日,男の子の節句は5月5日。中国でも朝鮮でも端午節として祝うことは日本と同様である。 神宿るカシワ餅を食べて邪気を払うことも大昔大陸から伝来した風習であろう。コバルト色にはれたさわやかな日,鯉のぼり,武者人形,それからカシワ餅の味を忘れる人はあるまい。