平成21年度 高学年教科担任制の取組

仙台市立黒松小学校



視点1 「学力向上」
 教科担任が教材研究を深め,複数クラスの授業に責任を持って取り組むその積み重ねが授業力を高め,さらには児童の学力向上につながるものと考える。また,指導方法の改善を図りながら計画的かつ効率的に授業を進めるという点でも,教科担任制は有効である。
 今年度は,5年生は社会・理科・音楽・家庭・図工・体育・外国語活動の7教科,6年生は社会・算数・理科・音楽・図工・家庭・体育の7教科で教科担任制を実施している。
 7月23日には全職員参加で「学習指導改善検討会」を開き,仙台市の「確かな学力育成プラン」について共通理解を図るとともに「仙台市標準学力検査」の結果を分析した。今後,各教科ごとに児童の実態に応じた指導・支援の工夫に取り組んでいきたいと考える。

視点2 「生徒指導」
 教科担任制では,各担任がクラスを超えて学年の児童個々の実態を把握でき,児童にとっては多くの教師とのコミュニケーションをとりやすい環境にある。このことから,生徒指導面の成果が見られる。例えば,成長期にある6学年の児童にとって,性の異なる教師には話しにくいこともある。しかし,複数の教師の中に自分が安心して相談することができる教師がいることは,児童の心の悩みを軽減し安心して学校生活を送ることにつながる。また,年齢や性の異なる複数の教師が学年担任として役割分担して生徒指導にあたることで,問題の早期発見,早期解決につながっている。
 さらに,毎日の学習予定について児童が「学習パスポート」に記録し保護者に見せることで,児童の学習意欲の喚起や家庭との連携が図られている。

視点3 「中学校への円滑な橋渡し」
 本校では平成13年度から算数でグループ指導を行っており,児童は担任以外の教師から授業を受けたり教室移動をしたりすることに慣れている。また,平成15年度からは本校独自に教科担任制を導入し,卒業生への追跡調査を実施してその成果を確認してきている。
 昨年度から,黒松小・八乙女小・八乙女中の3校合同で,自分づくり教育のカリキュラム作成に取り組んでいる。その関連で,小学生が中学校の授業を見学したり,中学生が小学生に職場体験の発表を行ったりするなど小中交流の場を設定したところ,児童が持っていた進学に対する不安を軽減することができ,進学に対する期待感を持つことができた。また,八乙女中1学年担任からは,生徒の様子として中1ギャップもなく意欲的に学習に取り組んでいるという話を聞いている。
 このように,小学校で教科担任制を経験しているということは,中学校での学習にスムーズに慣れるという点で,とても有効であると言える。

視点4 「教師の意識改革」
 これからの学校は,「生きる力」の育成を目指して教育活動全体について絶えず見直し,改善の努力をしていく必要がある。そのためには,子どもたちの教育に直接携わる教員の資質能力の向上を図り,自信を持って指導にあたることが大切になる。教科に関する専門的知識と実践的指導力をより高めていくためにも,教科担任制を効果的に活用していきたい。
 また,誰が高学年担任になっても戸惑いなく教科担任制に取り組めるよう,全職員で共通理解を図るようにしていきたいと考える。