校 長  竹 澤 吉 助 
学級編成について
 子供たちの学校生活のほとんどは,学級が基盤になっています。
 13年度は「子供も先生も新規まき直し」と全学年のクラス替えをしました。
 初めの内は「友達が居ないから学校に行きたくない」と言っていた子供も何人かいましたが,やがて新しい先生や学級にも慣れました。 また,「4月のスタートからしばらくの間,全体に落ち着かない感じがする」という声もありましたが,それもやがては落ち着きました。
 この「落ち着かない期間」を無意味とみるか,意義のあるものと考えるかで,クラス替えに対する意見と評価が分かれます。
 大勢の人間が一緒にいれば「何もない」というわけにはいきません。大小のトラブルを上手に解決しながら,やがて仲の良い友達になり,励まし合い競い合って成長しようとする方が,子供にとって必要であり望ましいことではないでしょうか。
 今はどの学年・学級も例年と同様,あるいはそれ以上にキチンとした活動ができています。クラス替えをどうするか学校でも随分話し合いました。
 そして,来年度も子供たち同士の関係に充分に配慮しつつ,全ての学年でクラス替えをし,新しい学級で新学期をスタートすることにしました。

算数の少人数指導について
◆ 13年度の取り組み
 今年度,専任の教師が一人配置されたので,学習の差が大きく出てくる算数の3年生から6年生で最大限に活用しようと考えました。各学年3学級120名を30名ずつの4グループにし、担任と少人数グループ専任が指導することにしました。
 グループの分け方や指導方法などは学年でいろいろ工夫しながらまず7月までやってみて,その上でよりよい方法を話し合うことにしてスタートしました。
 学年により少し違いがありますが,大体は,基礎からジックリと復習するグループから,かなりレベルの高いグループまで設定しておき,子供たち自身で自分の実力を判断してグループを選ぶ。また,グループは固定せず,新しい内容に入るたびにテストをして自分の力を確かめ,グループを変えてもよいということにした学年が多かったようです。
 良くできる子が基礎コースを選んでじっくり復習したり,実力より高いコースを選んで苦労した子も居ましたが,全体として自分の力に応じた学習ができてよかった,分からないことは気軽に質問できたという声がほとんどです。
 そして,初め心配された「グループ分けによって子供たちに変な差別感や劣等感を植え付ける」といったこともなかったようです。
 この方法は,教師にとっては他の学級の子供たちにも目配りでき,多面的な評価ができるようになります。また,子供にとっては担任以外の先生や他のクラスの友達との触れ合いができるといったメリットもあります。
◆ 13年度の取り組みを通しての課題
 ○グループを児童の自己評価や希望をもとに分けたため
  @学力差が大きく,指導が難しかった
  Aグループの人数に偏りが生じた。
  Bどのグループも,最後は教科書を同じ内容まで授業を進めなければならないので,特に時間がかかる基礎グループの指導は大変むずかしい。

 ○内容ごとにテストしてグループを入れ替えたため,授業が遅れがちになったり子供たちの学習状況を把握するのに時間がかかるなど…。
  これらについては,学年で様々に対応策を協議して工夫をしてきました。
 ・学力差や指導時間の問題は,大元が計算に時間がかかり過ぎるなど「計算力の差」によるものです。
その計算力を高める百マス計算をまつのみ音楽会後11月から毎朝行っています。
 ・グループ内の人数の偏りには,まず実力に合ったグループに移るように勧めましたが自由選択では限度があります。
  また,子供の力に応じた指導を丁寧にするためには指導者の増員しかありません。
  幸い,黒松の少人数グループ指導が高く評価され,さらにもう一人の教員が配置されることになりました。

14年度の方向性について

◆14年度の算数指導体制をどう組むか十分に検討しました。
 「これまでの指導の経過を踏まえ,子供の学習状況に合わせて可能な限りきめ細かに指導できるようにする」
 
というのが基本方針です。
 
 今度大きく変えたのは,
 @4グループを5グループに増やす
 Aグループは分けは、理解度や習熟の程度など子供の学習状況を判断し担任が決定する
 B所属は基本的に固定とするが,7月,12月で教師が判断する

 の3点です。
 また,各グループの指導内容や指導方法は子供の力に応じたものにする。
 特に学習の遅れているものについては,より少人数のグループにしてジックリと繰り返し学習できるようにする…というのが新しい点です。

○理解度別や習熟度別の学習には,確かに様々な批判があります。
 ・差別感や劣等感を植え付けるおそれがある。
 ・習熟度別に分ける規準を明確にすることが難しい。
 ・同じレベルの子を集めてしまうと考えの広がりがなくなってしまう。
 ・皆の考えを集めての「学び合い」が大切などなど…。

 それは,もちろん十分に分かっています。
 しかし今,現実に5年・6年であっても九九がキチンと言えなかったり,その学年での学習内容を理解していない子供たちがいます。それ程ではなくても力の差が大きい子供たちを一斉に,同じ速さで学習を進めることはまず不可能です。
 小学校の授業を「まあまあ理解しているのが70%」という調査結果(文部省平成10年度「学校教育に関する意識調査」)がそれを証明しています。
 つまり約30%の子供たちは授業が理解できていないということです。
 私たちはまず,それぞれの力に合った指導をしてその30%の子供を救い,100%の子供に分かる喜びを感じさせ,さらなる学習への意欲を高めたいと思うのです。

 これまではしたくてもできませんでした。今はやろうとすればできるのです。
 そのためのグループ分けですから,子供たちに差別感や劣等感を持たせないよう教師も親も最大限に配慮しなければなりません。どうかご理解をお願いします。

 新学習指導要領,学校週5日制,二学期制と課題の多い14年度ですが,本校では前もって準備をすすめています。今後ともなお一層のご支援をお願いいたします。

プレゼンデータ(今年度の取り組みと次年度の方向性) 


戻る