地区
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研究主題に迫るための手だて |
取り上げた領域 |
授業研究 |
1 |
@ 動きを体感できる指導過程と評価の計画の工夫
A 学習のめあての達成度が分かる学習カードの工
夫
B 焦点化された学び合いになるための工夫 |
ボール運動
ベースボール型 |
人来田小
5学年 |
<○ 学習指導案 ○ 学習カード> |
2 |
@ 2学年にわたった指導と評価の計画を作成し,指
導の継続〈系統性〉を図る
A 目標が分かる,どうしたらできるようになるのか分
かる,できたことが分 かる学習カードを作成する
B さりげない教え合いを生む教師の工夫
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体つくり運動 |
南中山小
3学年 |
<○ 学習指導案 ○ 学習カード> |
3 |
@ 児童の関心や意欲を高める評価の工夫
A 単元全体を通して,自分の高まりを感じられる学
習カードの工夫
B 動きに意味づけする言葉・変化を与える言葉の工
夫 |
表現運動 |
高森東小
6学年 |
<○ 学習指導案 ○ 学習カード1 ○ 学習カード2 > |
4 |
@ 児童の発達段階に応じた評価計画の作成
A 学習カードへ記入する内容の精選
B 学びの成果を共有する振り返りの工夫 |
ボール蹴り
ゲーム |
西山小
1学年 |
< ○ 学習指導案 ○ 指導計画 ○ 本時の指導 ○ 学習カード> |
5 |
@ 評価をより意識した指導計画の作成
A 人とのかかわりを通した評価の工夫
B 学習資料や学習カードを通した評価の工夫 |
鉄棒を使った
運動遊び |
岡田小
1学年 |
<○学習指導案 ○振り返りカード ○系統表 ○学習カード> |
6 |
@ 単元全体を見通した評価計画の工夫
A 児童の到達度を的確に見取る学習カードの工夫
B 体育学習における言語活動の工夫 |
ボール運動
ゴール型 |
東六郷小
3・4学年 |
< ○ 学習指導案 ○ 学習カード ○ 作戦カード > |
7 |
@ 児童の実態をしっかりと把握する
A 指導目標を明確にする
B 児童がめあてを達成できるカードの作成
C 細分化したスモールステップ
D 児童の実態に応じた声掛けや活動の充実
E 児童が伸びる学び合い活動の充実 |
体つくり運動 |
南材木小
6学年 |
< ○ 学習指導案 > |
本研究会では,昨年度「児童のわかること・できることを大切にした体育学習の在り方」という研究主題を設定し,児童の健やかな体の育成を目指し,授業実践を積み重ねてきた。 7つの地区がそれぞれに研究主題に迫るための手立てを設定し,児童が体育学習においてわかったり,できたりするための体育学習の在り方について,児童の学びの姿から研究を深めてきた。児童がわかったり,できたりする過程において,教師が児童の学びの姿をどのように見取っていくかに焦点を当てて研究を進めてきたことで,どの地区も指導と評価を意識した授業づくりを進めることができた。
一方で,多くの課題も明らかとなり,具体的な内容としては以下の通りである。
<昨年度の研究で見えてきた主な課題>
・児童の発達段階を踏まえた指導と評価の在り方
・言語活動の充実(児童への言葉がけ,教え合いにおける言葉がけ)
・評価の観点を明確にした学習カードの工夫
・運動の特性を十分に生かした学習指導の在り方
・単元全体を通した評価計画の工夫
生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の基礎を育むためには,児童の運動意欲を高め,楽しく運動に取り組ませることが大切であると考える。児童がわかったり,できたりすることを積み重ねていくことで,運動の「楽しさ」を感じ,結果として体力の向上を図ることができると考える。そのため,指導者は,運動の有する特性や魅力を十分に踏まえ,それをどのように児童にわからせ,できるようにさせるのかという道筋について,授業実践を通して明らかにしていくことが大切であると考える。また,わかること,できることの捉えについては,昨年度同様,以下のように定義づけすることとした。
<「わかること」の捉え>
◎運動の行い方を理解すること
*「運動の行い方」とは,動き方,ルール,マナー,課題解決のための練習等を示す。
<「できること」の捉え>
◎基本的な動きや技能を身に付けていること
*「動き」と「技能」の違いについては,運動種目として成立している領域については「技 能」と呼び,それ以外を「動き」と呼ぶこととする。
昨年度の継続研究であることから,主な課題について各地区一丸となって研究に取り組むことが大切であると考え,研究主題に迫るための3つの視点を設定することとした。
<視点@> 「学習内容の系統性を踏まえ,単元全体を見通した評価計画を明らかにする」
学習内容の系統表や評価規準を作成し,児童の発達段階に応じた評価計画を明らかにすることを目指す。学習内容の系統性を十分に考慮し,複数学年を視野に入れながら,各学年において,どんな技能や知識,態度などを教える必要があるのか,または,指導過程のどの段階で何をどのように教えるのかについて,授業研究を通して,研究を深める。
<視点A> 「評価と連動した学習カードを工夫する」
学習カードの有効性については,これまでの研究を通して,十分に検証されてきている。これまでの研究実績を十分に踏まえ,学習のねらいを明確にし,評価と連動した学習カードについての研究を深める。
<視点B> 「体育学習における言語活動の充実を図る」
教師の言葉がけや児童同士の学び合いが,体育学習においていかに有効に働くかについては,これまでの研究で明らかとなっている。体育学習においても,言語活動を充実させることは,児童のわかること,できることに大きくつながる有効な手立てである。学習のどの場面で,どのような教師の言葉がけが有効なのか,または,児童同士が学び合い,関わり合う場面において,どのような言葉がけが緒他が隊の学習を深めるのに有効なのか等について,授業研究を通して研究を深める。
「児童のわかること・できることを大切にした体育学習の在り方」
- 指導と評価の工夫を通して -
現代は,新しい知識・情報・技術が,政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す,いわゆる知識基盤社会であると言われている。このような知識基盤社会や世界のグローバル化が加速する現代社会において,確かな学力,豊かな心,健やかな体の調和を重視する「生きる力」を育むことがますます重要になってくる。
現代社会のめまぐるしい変化に伴い,児童を取り巻く生活環境も大きく変化している。体を使って遊ぶことが多かった一昔前に比べると,児童の遊びは多様性を増し,ゲーム機の急速な普及に伴い,体力をあまり使わない遊びも増えてきた。そのため,児童の体力低下が大きな問題となり,運動する子どもとそうでない子どもの二極化傾向深刻な課題となっている。
学習指導要領における体育科の目標として,「心と体をより一体としてとらえ,適切な運動の経験と健康・安全についての理解を通して,生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の基礎を育てるとともに健康の保持増進と体力の向上を図り,楽しく明るい生活を営む態度を育てる。」と示されている。また,仙台市では,「仙台市健やか体の育成プラン」を掲げ,3つの視点「健康に関する児童・教員・保護者等の意識の向上」「健康や体力向上に向けた効果的な取組の実践」「健康づくりを推進する体制の構築」を示している。このことを受け,指導方法や指導体制を工夫した体育授業を実践することと運動の日常化を図る環境づくりを行うことが大きな目標となっている。小学校では,生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の基礎を培うという観点から,児童が各種の運動の楽しさや喜びを味わうことができるようにすると共に,すべての運動領域での適切な運動経験を通して,一層の体力の向上を図ることが大切であると考える。
学習指導要領の趣旨を十分に踏まえ,児童のわかること,できることを大切にした体育学習の在り方について,授業実践を通して明らかにする。