はっぴい たうん にゅーす

仙台市立幸町小学校Blog

卒業おめでとう

 明るくやわらかな日差しに春の訪れを感じる季節になりました。
 6年生の皆さん。保護者の皆様,ご卒業おめでとうございます。
本日,卒業する皆さんは,ここ幸町小学校で4年間「伝統文化教育」を享受してきました。4年生の時には,学芸会で能を舞い,5年生では,全員袴を着けて発表会をしました。乞われれば陸上競技場や民謡歌手の前でも能の謡『老松』を披露するような子供たちでした。本日お渡しした『伝統文化教育』のリーフレットは,卒業する子供たちの軌跡でもあります。
 さて,そんな子供たちを送る式辞です。何をお話ししようか悩みました。
 先日,子供たちが5年生の時に鑑賞した,狂言『柿山伏』を使って1時間授業をしました。狂言は人間を主人公とした日本の古典芸能です。古典とは,長い時代を超えて私たちに,人間とは何かを教え,生き方について考えるヒントを与えてくれるお手本のようなものです。そこで,子供たちに「狂言『柿山伏』が,現代の私たちに教えてくれる時代を超えて変わらない人間の姿(本質)とは何か?」という発問をしました。いろいろな意見が出されました。子供たちは,「人間とは・・・」という,哲学的な問いにしっかりと向き合い深く考えてくれました。解答の一部をご紹介します。
 私の考えは,本日,はなむけの言葉として子供たちにお話しました。
 人間とは,とても愚かで弱い存在である。だからこそ,私たちは見栄を張り,争い,人同士で落とし合うのだ。けれどもそれは,人間の本質で直せないところだ。だからこそ,自分に正直に人生を楽しく生きることが大事なのだ。そうでなければ壊れていくから。その人間を面白く伝えているのが狂言な気がする。(OK)
人間とは,弱い存在である。だからこそ私たちは,たくさんのことを知る必要がある。人間は,生きていれば恥をかくこともあり,欲に負けることもある。だけど,それをどう生かすかが必要だと思う。それを考えられるのは,たくさん恥をかいている自分だから相手の力になってあげられるし,たくさんのことを乗り越えていけば,自分の力になると思う。(TH)
 柿山伏で私は,今も昔の人たちも同じようなことをしているということを学びました。人は愚かで弱いけれど,それは,悪いことではなく,弱くたってよいということをこの学習で学ぶことができました。(SS)
 柿山伏は,今を生きる私たちに,人はよいところだけじゃないということを伝えてくれてると思います。なぜなら,人は,思いやりの気持ちがあったり,優しさをもっているけど,みにくいところもあることが,読み取れたからです。見栄を張ったり,言い分けすることもあり,よいことではないかもしれないけれど,それはそれで人間らしさだと思いました。これからは,恥をかいたとしても,当たり前ととらえて,あまり気にしないようにします。(WK)
 柿山伏は私たちに,笑いを取り入れながら人間の欲や弱さを教えてくれました。人間は愚かで完璧ではないということを今日の授業で感じました。また600年前の人間の行動が現代の人間も同じようなことをしていると知って面白かったです。これからは,完璧にはなれないけど,愚かな人間にならないように努力します。(SY)
 人間とは,何か弱みをもった存在である。だからこそ私たちは,その弱みをわかり合って,みんな同じようにあるのだから,仲良く過ごしていく。(KF) 
 巣立ちゆく彼らが,人に対しても,自分自身に対しても責めたり,追い詰めたりせずに「寛容な心」をもって伸び伸びと育っていってほしいと願っています。
author : 幸町小学校 | - | -