和食のススメ

 

和食の『和』は『日本』の意味です。  

そう! 日本の食事のことを和食といいます。

 

『和』は『なごむ』とも読みますね。

私は、日本人が長い年月をかけてはぐくみ育ててきた食文化は、人の心を和ませるものなのだなぁ、と解釈しています。

 

和食の特徴と魅力って何でしょう。

    季節感を大切にした演出と味わい

    素材の味を最大に引き出した絶妙な味わい

    さまざまな食材と調理法

    油分が少なくヘルシー

 

などなど、素敵なことがいっぱいです。

 

栄養バランスがとてもいい!!

和食は、栄養のバランスをとりやすい食事だということを聞いたことありますか?

それは、ごはんを主食とする食事はおかずをつけやすいから。そして日本では昔から『一汁一菜』『一汁三菜』『主食・主菜・副菜・汁物』といったおかずのつけかたが伝統となっています。

そして、ごはんはパンなどに比べてどんなおかずにも合う主食ですね。

そして和食のおかずは、野菜が豊富・油分が少ない・肉よりも魚が多く使われている・豆製品が発達している・・・などなど、体にとても優しい要素がたくさん!!

こんな日本食を食べていることが、日本人が長寿世界一の座を守っている秘訣だと言われています。

 

世界で人気の日本食

実はこの『和食』、いま世界中で熱い視線を送られています。

Soy sause(しょうゆ)」「Tohu(とうふ)」 「Sushi(すし)」などなど、大ブームの食品がたくさんあります。

大ブームの理由は、「ヘルシー」で「おいしい」から。

欧米諸国では肥満が国民病になっていて、どうしようか思案していたところ、目に留まったのが『日本食』だったのです。

栄養バランス抜群!! 油脂の使用量が少ない!! しかも美味しい!!

これはいい!! ということで注目を浴びたのです。そのブームは衰えるところを知らず、今ではすっかり定着して、当たり前のように醤油(しょうゆ)や豆腐(とうふ)がスーパーで売られているそうです。

 

『ヘルシーさ』から世界に認められるようになった日本食ですが、この頃ではその奥深さに魅了されている外国人の方々も増えています。

 

和食の奥深さ

『国』には様々な文化がありますが、その中でも『食』の文化は、人々の生活から切り離せない密着したもので、特に長い年月をかけて作り上げられてきたものです。『文化』の中でも最高傑作であり集大成であると私は思っています。

 

日本は、春・夏・秋・冬 の季節がはっきりしている国です。そしてそれぞれの季節が美しい国です。日本人は昔から『季節感』というものをとても大切にしてきました。ちょっとした住まいのしつらいにも、衣装にも、手紙などにも、さり気ない季節の心使いが表されています。

そして『食』における季節の演出もとても素敵です。これを読んでいる皆さんも、きっといろいろ思い浮かぶのではないでしょうか。

 

それから日本人は「自然と共に生きる」という自然観を持っています。

自然の中に生かされている。だからこそ、自然を大切にし、手入れをし、それによって得られる恵みに感謝する。自然の中から分けていただくものだから、自然の恵みは決して乱獲しない。そして次の年もまた幸多からんことを祈る。

この自然観は、世界中をみてもあまり類を見ないものです。

世界の多くの国々の流れは、『厳しい自然と闘い』『自然を克服しようと』してきた歴史なのですが、日本は大昔から自然と共生してきました。

これって、今世界が直面している環境問題の解決の大きなヒントになりませんか?

 

脱線しましたが、自然と共生している自然観を持つからこそ、盛り付けも自然をモチーフにしたものであったり、外国のものとは、だいぶ様相が違うように思います。

 

それから味付けも、自然の素材の味を最大限に生かしたものになっています。

これもまた、世界中をみても類を見ないものです。外国の料理は、素材の味はともかく、いかに理想の味に近づけていくかに重きを置いているように見えますが、日本食は『素材の味をいかに生かしていくか』に重きを置いています。素材の味を最大限に生かして深い味をかもし出していく・・・。なかなかできることではありません。外国のシェフが驚いているそうです。これはきれいな水に恵まれた国だからその方向に発展した、ということもあるのかもしれません。

 

乱れてきた食文化

そんな日本の食文化が、少しずつ(?)乱れてきています。

 

世界中の食べ物が簡単に手に入り、ある季節の食べ物が一年中食べられる。そんな便利な時代になり、なんて素敵な住みやすい世の中だろう!・・・と喜んでいたら、そこにあった落とし穴が『食の乱れ』だったのです。

人は、ともすると楽な方向に流れていってしまいます。

季節季節でたくさんの食材に恵まれている日本ですが、料理したことのない食材だと、そしてちょっと心にゆとりがなかったりすると、ついつい一年中出回っている「いつもの野菜や魚」に手が伸びる・・・なんてことは、誰の経験にもあることだと思います。ともすると、「魚は処理が面倒だから・・・」と肉に走ってしまうことも多いのではないでしょうか。 「さかな・嫌い!!」と言う子供が市名坂小学校でも、けっこういるように感じています。理由は「骨があるから」「慣れてないから」・・・。

 

一年中、さまざまな食材が手に入るということは、とても便利で食のバリエーションも増えるように思いますが、このような落とし穴についついはまりがちなのです。

 

「楽だから、ちょっと手抜き」が慢性化してしまうことはよくあることです。

が・・・、

その『慢性化した』『手抜きの』食事の中で育った子供は、その食事が一生の食生活のお手本となってしまいます。だって、季節感のある食事も、行事の食事も、味わい深い広がりのある食事も経験したことがないのですから・・・・。

こういったことは、大人になれば自然に身につくものではないのです。

毎日のことだから、毎年繰り返されることだから、繰り返し学んで身についていくものなのです。

ちょっとの楽チンが、日本の文化の衰退に大きな拍車をかけていると言ったら大袈裟でしょうか? いえいえ、決してそんなことはないのです。

 

和食のススメ

私はよく試食会などで話します。

「将来自分の子供に選んで欲しい食べものを普段の食卓に乗せていってください。」

毎日の食事が、子供にとっての一生の食生活の設計図になります。

年を取ったら自然に和食に戻るのではありません。戻っている人たちは、小さい頃和食を食べ続けていた人たちです。ジャンクフードを食べて成長した子は、ジャンクフードにしか戻れないのです。

 

私は、せっかくこんな素敵な食文化を持つ国に生まれてきたのだから、栄養面でも優れ、自然に優しい『和食』を食べる子どもたちに育っていって欲しいなぁ、と心から思います。

 

日本の文化を守る! と言ったらとても大変なことに聞こえるかもしれませんが、決してそんなことはありません。

お母さんたちが小さい頃によく食べていた食事を、自分の子供たちにも是非食べさせてあげてほしいなぁ、と切に思うのです。 

子供たちが将来思う『お袋の味』が、心に染みるものであってほしいなぁ、と心から思うのです。

 

文責:佐々木和美