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心に寄り添うことができるうたを
平成23年3月11日、未曾有の大震災が東北地方を襲いました。信じられない光景が連日報道され、すさまじい様相が目の前に繰り広げられました。あまりの惨状に、私は呆然となすすべもなく立ちすくむばかりでした。ただただ涙がこぼれ、脱力感に襲われました。
そして、こんなとき自分には一体何ができるだろうかと考えました。
文学、音楽、絵画など、芸術全てが無力だ! 詩を書いて何になると、自分の存在すら否定されたような気持ちになったのです。
そんなある日、NHKのテレビニュースで、仙台市立八軒中学校の歌っている様子が報道されたという話を、人づてに聞きました。音楽コンクールに向けて練習していたとき、災害にあい、出場をあきらめなくてはいけなくなったということ、自分たちも被災者でありながら、同じ避難所でくらす人々を励ますために歌ったということ、その中の「あすという日が」の歌がNHKのニュースで流れ、それを被災者が涙して聴く様子に見る人みんなが胸を打たれたということでした。(中略)
今の日本に本当に必要な歌であると、復興シンボル曲だと、口をそろえておっしゃってくださいます。
そして無力だと思っていた私が、詩の力を借り、被災者の心を、たとえわずかでもなぐさめることができたのだということに、その時気づきました。言葉の力は何と大きく深いものかと、しみじみ感じたのです。
(山本瓔子著「あすという日が」2011,株式会社アスコム より)
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