第14回 仙台市中学校長会総会 挨拶
仙台市中学校長会長 佐藤 正幸   

 今年の春の訪れは,例年にないほど早く,多くの木々が新緑に包まれ,夏の装いを纏い始めているこの頃です。  本来であれば,仙台市教育委員会教育長様をはじめ,関係各団体の皆様,歴代会長の皆様の御臨席を賜り,本総会を開催するところではございましたが,新型コロナウィルス感染拡大防止のための緊急事態宣言が政府から出されている最中であることから,断腸の思いで開催を断念せざるを得ないこととなりました。本会会員の皆様,そして御祝辞を頂戴する予定でございました皆様におかれましては,御理解,御協力を賜りましたこと衷心より感謝申し上げます。
 さて,本会は平成19年4月に発足し,今年度で14年目を迎えました。会員相互の連絡・連携を図り,中学校教育の研究・協議,関係機関への提言や情報発信など本市教育の振興に寄与することを目的として活動してまいりました。諸先輩方のこれまでの多大なる功績を前にして,現会員一同,感謝の気持ちを持ちながらも,少しでも先輩方に追い付くことができるよう一層の緊張感を持って取り組んでまいる所存です。
 今春の人事異動によりまして,14名の皆様が御退職,そして3名の方が御退会なされました。御退職そして御退会された皆様のこれまでの中学校教育への並々ならぬお志とその取組には多くの御示唆と勇気をいただきました。あらためて,先輩諸氏の存在の大きさを感じているところでございます。そして,新たに,再入会なされた3名の方々,新会員となられた15名の方々には心より歓迎の意を表したいと存じます。それぞれのお立場で,それぞれの個性を生かしていただきながら,仙台市の中学校教育の発展・充実のためにお力を発揮していただくことを期待するところでございます。
 現在,仙台市内のみならず,全国ほとんどの学校が3月から臨時休業となっています。これまでに経験したことのない緊急事態であり,教育委員会だけでなく,各学校においても,地域や保護者等の状況に応じた様々な対応が求められております。学校の再会に向けての準備はもちろんのこと,これまでの学校における慣例などを大きく変えていかなければならない,新たに検討しなければならないことも数多くあり,社会からの関心も非常に高い状況にあります。これはとりもなおさず,私たち一人一人の校長としての資質を問われているものであろうと考えております。
 加えて,今年度は未曾有の災害であった東日本大震災から10年目を迎えます。復興は着実に進んできており,今年度で一つの区切りを迎えることになりますが,その一方で,震災の風化も叫ばれています。震災遺構等の整備も進み,防災教育も着々と進めてきているところではありますが,当時の経験と様々な知恵を次の世代に伝えていくことは非常に有意義なことであり,学校教育全体に求められていくものに違いありません。
 仙台市の中学校教育においては,当然のことながら,いじめ防止対策や不登校対策も最優先すべき喫緊の課題であり,校長を含めた全職員,保護者や地域,関係機関等も含めたチーム学校として組織的な対応が求められます。また,全市立学校への「仙台版コミュニティ・スクール」の段階的な導入や「教職員の働き方改革」など,新たに検討していかなければならない課題も山積している状況です。
 平成29年3月には「仙台市立学校教職員人材育成基本方針」が策定されました。そこには私たち管理職に求める三つの力として「深い教育力」,「優れたリーダーシップ」,「確かなマネジメント」が掲げられており,私たちの道しるべとなっています。混迷を深め排他主義に傾く国際社会,新型コロナウィルスや貧困等の不安が広がっている我が国,そして仙台の未来を担っていく若者を育てる使命を担っている私たちは,この三つの力を駆使しながら,教職員を導き,地域社会との協力関係を構築し,未来の日本の姿,世界の姿をイメージしながら生徒一人一人の個性に応じた成長を促していかなければなりません。
令和3年度からは,新学習指導要領も全面実施となりますが,すでに特別の教科道徳等が先行実施されており,今年度が準備の最終段階となります。これに伴う様々な施策も国や教育委員会において実施されることになるでしょう。
 本会の会員である私たち66名の校長は,私たちが向かう道がたとえ茨の道であろうとも,真摯に取り組み,結果を残し,保護者や地域社会に対して十分な説明責任を果たしていく意気込みを持って重責を果たしていく所存です。会員同士の連携をさらに深め,一人一人の強みを発揮し,お互いを補いながら仙台市の子どもたちのために,延いては日本,そして国際社会のよりよき未来のために努力することをこの場でお誓いいたします。
 結びになりますが,歴代の会長様をはじめ諸先輩方,仙台市教育委員会,関係諸団体の皆様に,今後の更なる本会への御指導,御鞭撻をお願い申し上げ,挨拶とさせていただきます。

 令和2年4月28日