仙台市歴史民俗資料館 

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資料館ノート

テマタについて

 稲刈りをする時に使うものに、テマタと呼ばれるものがあります。
 機械が入る以前の稲刈りは、人の手によって行われました。1日に何百回、何千回と素手で稲を刈るので、稲をつかむ親指と人差し指の間の皮が破れ、血がにじんできます。そこでテマタという保護具を、親指と人差し指の間にはめて稲刈りを行いました。
 仙台市若林区七郷の農家では、着古した布をためておいて、手ぬぐいの四分の一位の大きさに何枚も重ね、糸で刺してテマタを作りました。
 稲刈は露のある朝早くから行いましたが、テマタの布が昼まで持たず、いくつも使うことになったといいます。お嫁さんたちは秋の稲刈りに備え、家族の分をいくつも縫わなければならならなかったので、時間に余裕のあるお正月やお盆過ぎに縫いためておきました。それでも稲刈りになるとテマタが足りず、一日何時間も働いた後に翌日分や家族分のテマタを、眠い目をこすりながら作り足すのが大変だったといいます。                                
 昭和30年代になると大量生産された軍手やゴム手袋が現れ、また昭和40年代に稲刈り機が一般化していく中、テマタは用いられなくなりました。