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大貝中遺跡

縄文時代前期を中心とした数多くの土坑や遺物包含層を確認。

おおがいなかいせき

大貝中遺跡

Ogainaka iseki

種別区分
集落跡
年代
縄文時代 古墳時代 平安時代
面積
82,000㎡

所在地

太白区茂庭字大貝上・中・下
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解説

大貝中遺跡は,市の西部にあり,JR長町駅の西約11kmに位置する。名取川右岸の標高67~86mの相ノ原遺跡と同じ段丘上に立地し,西側は坪沼川,北東側は名取川に面している。面積は約82,000㎡で,その範囲は東西300m,南北350m,現況は水田である。平成3年(1991)に国道286号線の改良工事に伴う発掘調査が仙台市教育委員会により行われ,上下2つの段丘面から縄文時代の土坑54基,溝跡2条,埋設土器1基,遺物包含層が発見された。土坑には落し穴14基,大型土坑10基,焼壁土坑1基などがある。落し穴は主に東側の段丘縁辺部とその下の低位段丘にわたり発見され,形状は楕円形や長楕円形であり,楕円形の落し穴については段丘緩斜面に沿って並んで配置された状況がわかる。大きさは長軸180~250㎝,短軸90~160㎝で,幾つかのものには底面に杭状のものを設置したとみられるピットが確認された。出土遺物がほとんど無いことから,これらの時期は不明である。大型土坑は西側の平坦部で確認され,形状は円形もしくは楕円形で,大きさは大きなもので長軸が4m以上,短軸でも2.4mある。底面は平坦で,中にはいくつかのピットが見られるものもあったが,この土坑が何の目的に使用されたかは不明である。全ての土坑から縄文時代前期初頭の土器が出土したことから,大型土坑はこの時期のものと考えられる。出土遺物には縄文土器,剝片石器,礫石器,土製品,石製品などがある。縄文土器は土坑内と包含層から出土しており,時期は前期~晩期と様々であるが,前期初頭のものが圧倒的に多く,他に中期中・後葉,後期前葉,晩期中葉がある。剝片石器では石匙(いしさじ)や石箆(いしべら)が多く,石器組成に特徴がみられる。また石器全体から見た礫(れき)石器の割合が多いのも特徴である。これまで竪穴住居跡など居住域は発見されていないが,発見された数多くの土坑の存在からみて,周辺に縄文時代前期の集落跡が存在する可能性がある。

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